ina_kan’s blog

田舎で兼業の神主の日常。

「神社は50年先を見据えて行動すべし」とその人は言った。

「神社は50年先を見据えて行動すべし」とその人は言った。
まだぺーぺーだった(否、今もだけど)僕が神職の資格を得て、すぐに宮司を拝命してしまった当時の総代会長その人である。
聞けば長く地域の議員を勤め、職を辞した当時でも図書館で勉強を怠らない人だったという。
酒を愛し、酒に愛された人柄で、直会はいつも彼の独擅場であったが、実に人間臭く博識な老人を僕は影でいろいろ面白がりながらも尊敬していた。

「神社は50年先を見据えて行動すべし」。
思うに、今このような骨のある人生の先輩が少ないと感じる。
そして、これによって神社の運営は岐路を迎えていると思う。

ある時、ある人が言った。
「もう息子の代では、今のようなかたちで行事に協力出来ないのではないか」
続けて言った。
「だから我々の代で行事を縮小したり簡略にしたりしなければならない」

僕は耳を疑った。
いやいやいやいや。
なに勝手に息子どもの選択の自由を奪ってんだよ。
せめて将来のことは将来を背負って立つ息子どもに選ばせろ。
親が息子どものために将来を選択してやるとは、随分とまあ過保護なこったな!

僕は、これからの時代「老い先少ない人たちに神社の将来を託すのは無理なんじゃないか」と考え始めている。
「50年先を見据える」視野がないのだ。

息子たちの代に訴える「明るい未来志向」を構築しなければならない。
急がないと取り返しがつかなくなる。